銀行・証券会社の相続手続きが一度で済む?「みらいたすく」とは?2027年以降の開始予定を解説
こんにちは。司法書士法人・行政書士法人Ⅽ-firstの行政書士・丸谷春稀です。
普段、相続のご相談を受けていると、お手続きに関して「何から手をつければよいのか分からない」「やることが多くて大変だった」というお話をよく伺います。
相続が発生すると、預貯金や証券、不動産など、それぞれについて手続きを進める必要があります。なかでも、複数の銀行や証券会社に口座がある場合は、金融機関ごとに必要書類や手続き方法が異なるため、相続人の方にとって負担になりやすい部分の一つです。
こうした金融機関の相続手続きについて、今後は少しずつデジタル化・効率化が進んでいきそうです。
今回は、金融機関をまたぐ相続手続きの負担軽減を目指す新しい構想「みらいたすく」についてご紹介します。
現在の手続きと「みらいたすく」導入後のイメージ
「みらいたすく」とは
「みらいたすく」は、銀行、信託銀行、証券会社など、複数の金融機関にまたがる相続手続きを一元化することを目指すオンラインプラットフォームの構想です。
2026年4月、金融機関やNTTデータなど10社が、金融業界を横断した相続手続きの共通基盤を構築するため、基本合意を締結したことを公表しました。
現在は、亡くなられた方が複数の金融機関に口座を持っていた場合、それぞれの金融機関に連絡し、必要書類を確認したうえで個別に手続きを行うのが一般的です。
「みらいたすく」が実現すれば、オンライン上で必要な情報を連携することで、参加する複数の金融機関の相続手続きをまとめて進められるようになることが想定されています。
金融機関ごとに異なっている受付や提出情報などを共通化・標準化することで、相続人だけでなく、金融機関側の事務負担も軽くすることが期待されています。
いつから利用できる?
「みらいたすく」は、現時点ですでに利用できるサービスではありません。公表されている予定では2026年秋頃に運営会社を設立し、2027年夏頃に一部地域で試験導入、2028年秋頃に全国でのサービス提供開始を目指すとされています。
ただし、名称、参加する金融機関、利用方法、対象となる手続き、費用などは、今後の検討により変更される可能性があります。現在発生している相続については、これまでどおり金融機関ごとに個別の手続きを進める必要があります。
相続手続きのすべてが一度で済むわけではありません
金融機関の手続きがまとめてできるようになれば、とても便利です。
ただし、「みらいたすく」が始まれば相続手続きのすべてが一度で終わる、というわけではありません。
実際の相続では、金融機関での手続き以外にも、次のような対応が必要になることがあります。
・戸籍を収集して相続人を確定する
・遺言書の有無や内容を確認する
・相続財産や借入金を調査する
・相続人間で遺産の分け方を話し合う
・ 遺産分割協議書を作成する
・不動産の相続登記を行う
・相続税の申告が必要か確認する
また、すべての金融機関が参加するとは限りません。参加していない金融機関については、従来どおり個別に手続きを行うことになると考えられます。
不動産の相続登記は別の手続きです
亡くなられた方が土地や建物を所有していた場合は、金融機関の手続きとは別に、不動産の相続登記が必要です。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されており、原則として、相続の開始と不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
また、遺産分割が成立した場合には、その成立日から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記を申請しなければなりません。
つまり、「みらいたすく」によって預貯金や証券の相続手続きが便利になったとしても、不動産の名義まで自動的に変更されるわけではありません。
デジタル化されても、生前の整理は大切です
相続手続きが便利になっても、亡くなられた方がどこに財産を持っていたのかが分からなければ、そもそも手続きを始めることができません。
特に最近は、通帳を発行しないインターネット銀行や、郵送物の少ない証券口座なども増えています。
そのため、暗証番号やパスワードそのものを一覧にする必要はありませんが、次のような情報を整理しておくだけでも、ご家族の負担は大きく変わります。
・どの金融機関を利用しているか
・どのような不動産を所有しているか
・どのような保険に加入しているか
・ 借入金があるか
・遺言書を作成しているか、どこに保管しているか
「みらいたすく」が予定どおり実現すれば、これまで煩雑だった金融機関の相続手続きは、かなり便利になるかもしれません。
実際にどこまで手続きが簡素化されるのか、私たちも今後の動きを注目していきたいと思います。
司法書士法人・行政書士法人C-firstでは、「まだ相続は発生していないけれど、今のうちに整理しておきたい」という生前のご相談から、相続発生後の戸籍収集、遺産分割協議書の作成、不動産の相続登記などまで幅広くサポートしております。
「何から始めればよいか分からない」「今のうちに準備しておいた方がよいことを知りたい」といった段階でも大丈夫です。
初回のご相談は無料で承っておりますので、相続や遺言、不動産の名義変更などで気になることがございましたら、司法書士法人・行政書士法人C-firstへお気軽にご相談ください。
※本稿は2026年8月時点で公表されている情報を基に作成しています。サービス内容やスケジュールは今後変更される可能性があります。
参考資料
・NTTデータほか「金融業界横断の相続手続き一元化プラットフォーム『みらいたすく』構築に向けた基本合意について」(2026年4月8日)
・法務省「相続登記の申請義務化について」
この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first
行政書士
丸谷春稀
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
相続 遺言 家族信託 成年後見
- 経歴
立命館大学経営学部を卒業後、令和3年度行政書士試験に合格。翌年7月行政書士登録。家では年の離れた妹の面倒を見るイクメンの兄。






























































