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不動産を特定の子に承継させたい場合の遺言書の書き方

はじめに:なぜ「遺言書」が必要なのか?

「長男には実家を、長女には預貯金を」といったように、親御様が財産の分配について明確な希望をお持ちの場合、その意思を実現するためには遺言書が不可欠です。

特に不動産は、現金のように簡単に分けられないため、遺言書がないと「誰が不動産を承継するか」で家族間の争い(「争族」)になりがちです。

たとえ、ご家族間で「実家は長男に」という合意があっても、法的な効力を持つ遺言書がなければ、不動産の名義変更(相続登記)は複雑化し、時間と費用がかかってしまいます。




1. 遺言書に記載すべき「具体的な表現」

「実家は長男に譲る」といった曖昧な表現では、法的に手続きを進めることができません。不動産を特定の子に確実に承継させるには、以下の2点を正確に記載する必要があります。

① 不動産を特定するための情報

遺言書には、財産を特定できるように不動産の住所(所在・地番など)を正確に記載しなければなりません。

これは、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されている内容と完全に一致している必要があります。

NG例: 「〇〇にある自宅」

OK例: 「下記の不動産を長男である〇〇(生年月日)に相続させる。

所在:○○市○○町一丁目

地番:123番

地目:宅地

地積:180.00平方メートル」

② 「相続させる」または「遺贈する」の使い分け

誰に渡すかによって使うべき言葉が変わります。


2. トラブルを避けるための「遺留分」への配慮

遺言書で特定の子にすべての不動産を集中させると、他の兄弟姉妹は「財産をもらえなかった」と不満を持つ可能性があります。

兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者、子)には、法律で定められた最低限の財産を受け取る権利、「遺留分」が保障されています。

遺言書を作成する際は、この遺留分を侵害しないよう、他の兄弟姉妹にも一定の預貯金などを残すといった配慮が必要です。

遺留分を侵害する内容の遺言書も有効ですが、後日、他の相続人から遺留分を請求され、トラブルに発展する可能性が高くなります。

3. 「遺贈」の場合、遺言執行者の指定は必須!

法定相続人以外が不動産をもらう場合、不動産の名義変更手続き(遺贈登記)を確実に行うため、「遺言執行者」を必ず指定しましょう。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現するための代表者です。この指定があれば、他の相続人の協力を得ることなく、スムーズに不動産の名義変更手続きを進めることができます。

指定の文言例: 「この遺言に関する一切の権限を持つ遺言執行者として、司法書士の〇〇を指定する。」

💡 まとめ:大切なのは「正確さ」と「形式」

自筆証書遺言の場合、たった一行の書き間違いや押印忘れで全体が無効になるリスクがあります。

法務局に預けるという方法もありますが、法務局は遺言の中身(その遺言内容で登記が出来るか)まではチェックしてくれません。

ご自身の意思を確実に未来へつなぐためには、法的な視点から正確にサポートできる専門家(司法書士・行政書士)に相談し、公正証書遺言(公証役場で作成)の形式で作成するのが最も安全で確実です。

費用を抑えるために、自筆証書遺言を法務局に預けるという場合も、遺言の内容については、事前に専門家にご相談していただくことをオススメいたします。

シーファーストでも遺言のサポートをしておりますので、お気軽にご相談くださいませ。

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

司法書士

江邉 慶子

保有資格

司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士

専門分野

相続 遺言 生前対策 家族信託

経歴

大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。


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