遺言書に住所がない!?住所記載なしの自筆証書遺言で不動産の名義変更ができた解決事例
1. 相談内容:全財産を譲るという遺言書、しかし「住所」の記載がない…

ご相談者のAさんは、亡くなったご主人の自筆証書遺言を携えて来所されました。 遺言書には「妻(Aさん)に全財産を相続させる」とはっきりと記されており、法律で定められた4つの要件(全文自筆・日付・氏名・押印)もすべて満たしていました。

しかし、一点だけ懸念される点がありました。遺言書の中に、ご主人の「住所」が記載されていなかったのです。
2. 専門家の視点:なぜ「住所なし」だと登記が難しくなるのか
遺言書自体は法律上有効であっても、不動産の名義変更(相続登記)となると話は別です。
法務局が登記を受け付ける際、「遺言書を書いた人」と「登記簿上の所有者」が本当に同一人物かを厳格に確認します。その判断基準は主に「氏名」と「住所」の2点です。
今回のように住所の記載がない場合、法務局からは「同姓同名の別人ではないか?」という疑いを持たれる可能性があり、最悪の場合、その遺言書だけでは名義変更が認められないリスクがありました。
3. 解決までの道のり:裁判所の検認と法務局との事前協議
私たちは、リスクを最小限に抑えるため、以下の手順で慎重に手続きを進めました。
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家庭裁判所での「検認」手続き まずは裁判所へ遺言書の検認を申し立てました。相続人全員に通知が行き、裁判官の立ち会いのもとで遺言書の内容を確認する公式な手続きを完了させました。
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法務局との事前打ち合わせ 検認済みの遺言書を持参し、管轄の法務局と直接協議を行いました。遺言書の内容全体を総合的に判断してもらうよう交渉を重ねた結果、「今回の遺言書をもって同一人物と判断し、相続登記を受理する」という回答を得ることができました。
この結果、追加の複雑な証明書類を最小限に抑え、無事にAさんへの名義変更を完了することができました。
4. 専門家からのアドバイス:確実な相続のために「公正証書遺言」の検討を
最近では「自筆証書遺言保管制度」も始まり、個人で遺言書を書くハードルが下がっています。しかし、今回のケースのように、形式は整っていても「実際の手続き(名義変更など)」でつまずくケースは少なくありません。
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自筆で書く場合: 住所の記載など、細かな注意点を確認しておく必要があります。
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より確実を期す場合: 公証役場で作成する「公正証書遺言」をおすすめします。専門家が介在するため、今回のような形式不備によるトラブルを未然に防ぐことができます。
「せっかく書いた遺言書が使えない」という事態を避けるためにも、作成段階で一度専門家へご相談ください。
この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first
行政書士
鈴木 塁
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、東京のホテルに就職し、その後、行政書士法人での勤務を経てc-firstに勤務。元バスケ部でその長身から相続業務をパワフルにこなす。






























































