二重に発生した相続を整理し、前妻の子どもとも円満に解決できたケース
登場人物
今回ご相談くださったのは60代の女性Aさん。
亡くなったのはAさんのいとこのご主人。
その奥様(Aさんのいとこ)もその後に亡くなっており、相続手続きが手つかずのまま二重に相続が発生している状態でした。
被相続人(Aさんのいとこのご主人)には前妻との間に子どもがいて、現在の奥様(Aさんのいとこ)との間にはお子さんがいません。
複雑なご親族関係で、Aさん自身も「私が何か手続きできる立場なのかすらよくわからないんです…」と、不安そうにお話しくださいました。

相談内容
最初にお亡くなりになったのはAさんのいとこのご主人。
そしてその数年後に、いとこ本人も亡くなられました。
しかし、一回目の相続(いとこのご主人)の手続きがされていなかったため、そのまま二度目の相続が発生し、権利関係がとても複雑に。
「このまま放っておいたら、どうなってしまうのかしら…」と、Aさんは心配されていました。
特に困っていたのは、いとこのご主人と前妻の間にいたお子さんとの連絡手段がないこと。
名前も顔も知らない相手とどう話を進めればよいのか、手も足も出ない状況でした。
当事務所のアドバイス
まずは、相続関係を整理することから始めましょう、とご案内しました。
①回目の相続(Aさんのいとこのご主人の相続)では、前妻との子どもとAさんのいとこが法定相続人となりますが、②回目の相続(Aさんのいとこの相続)では、いとこが遺していた【遺言公正証書】に基づき、Aさんがすべての権利を引き継ぐといった内容でした。


これにより、①回目の相続に係る権利(Aさんのいとこが受け取るはずだった権利)をAさんが取得されたということが確認できました。
その上で、遺産が預貯金だけだったため、前妻とのお子さんへはお手紙で状況を説明し、遺産分割協議への協力をお願いしてはどうかとご提案しました。
提案したメニュー
相続関係の調査から書類の取得、他の相続人へのお手紙送付、遺産分割協議書の作成、金融機関での手続きまで、すべてお任せいただける相続手続き丸ごとサポートをご提案しました。
「手紙を書くことすら怖い」とおっしゃっていたAさんでしたが、「専門家に間に入ってもらえるなら安心」と前向きなお気持ちに変わっていかれました。
解決までの流れ
まずは、①②両方の相続に関わる戸籍を丁寧に集め、関係性をひとつずつ明らかにしていきました。
また、②の相続では遺言公正証書の内容をしっかり読み込み、Aさんが正当にすべての権利を承継していることを確認。
そのうえで、前妻との子ども宛に当事務所名義でお手紙を送りました。
「法律で認められた分の遺産をきちんとお渡しします」ということ、そして今回の手続きの目的とAさんのお気持ちを、誠実にお伝えしました。
すると数日後、その方から当事務所へご連絡がありました。
お電話口では少し驚かれていましたが、丁寧に説明するとご理解くださり、「それなら協力します」と快く同意をいただけました。
最終的には、法定相続分に基づいて遺産分割協議書を作成し、預貯金口座の解約手続きを行い、それぞれに分配。
Aさんも「一人ではとてもできなかった。本当に助かりました。」と笑顔を見せてくださいました。
まとめ
相続登記や遺産分割の手続きは、相続人が増えると一気にハードルが高くなります。
ましてや、まったく面識のない親族とのやり取りとなると、誰でも不安を感じるものです。
今回のように、相続が二回連続で発生すると、関係がさらに複雑になり、放置すればするほど解決が難しくなります。
「誰かがやるだろう」と後回しにせず、まずは状況の整理から始めることが大切です。
同じ状況の方へひとこと
「昔の話だし…」「関係ないと思っていたけど…」と相続をそのままにしてしまう方は少なくありません。
ですが、時間が経てば経つほど、関係者は増え、手続きは煩雑になります。
今回のように遺言や戸籍をていねいに確認しながら、一歩ずつ進めていくことで、必ず解決への道はひらけます。

C-firstでは、相続に関する無料相談を行っています。
おひとりで悩まず、まずはお話だけでも聞かせてくださいね。
この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first
行政書士
鈴木 塁
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、東京のホテルに就職し、その後、行政書士法人での勤務を経てc-firstに勤務。元バスケ部でその長身から相続業務をパワフルにこなす。






























































