勝手に養子縁組をする親族から財産を守ったケース
ご利用サポート
遺言作成サポート+遺言執行
登場人物
被相続人
Bさん(Aさんの養母)
相続人
Aさん
違法に無断で養子届けを出した人
Cさん
相談内容
「母が他界した。母は以前こちらで公正証書遺言を作っていたので手続きをお願いしたい。」とAさんが相談に来られました。
今回お亡くなりになった母(Bさん)は実母ではなく養母にあたります。
Aさんの祖父とBさんは夫婦でしたが二人の間に子供はいません。
祖父には前妻との間に二人の子と一人の孫がいました。
その孫がAさんでBさんとは血縁のない義理の祖母にあたりますが、AさんはBさんと養子縁組をして親子の関係になっています。
そのためAさんはBさんの相続人になります。(図参照)
そしてAさんは以前にもBさんと共に相談にお出でになったことがあります。
その時の相談内容は「叔母(Cさん)が勝手にBさんと養子縁組をしていた。裁判をして養子の関係を取り消したが、また同じことをされるとも限らないので遺言書を作って財産を守りたい」との事でした。
Aさんの祖父は資産家で、Bさんと再婚後お亡くなりになり、その財産をAさんBさんCさんの3人が相続しました。
その後、CさんはBさんに対してたびたびお金を無心するようになりました。
Bさんはそのたびに断っていましたが、ある時、自分の戸籍を見るとそこにはCさんの名前が。
養子縁組しているとCさんにはAさんと同じ割合の財産を相続する事ができます。
驚いたBさんは弁護士に相談してどうしてそうなったのかを調べましたが、勝手に養子縁組を申請した可能性が高いとの考えに至りました。
実は勝手に養子縁組をするというのは珍しい話ではありません。
養子縁組をすると第一順位として相続権が得られるため財産を目当てに無断で進める人がいます。
もちろん無断で行うには違法です。
養子縁組届を偽造する事になるので刑法157条公正証書原本不実記載罪に問われます。
市役所は提出された書類に不備が無いか本人確認などはしますが、代理人で手続きされた場合に真贋を調べる権限を持っていませんので偽造された書類を受け付けてしまうのです。
勝手に届出を出される対策
この対策は2つあります。
1つは養子縁組届不受理申出です。事前に分かっているのであれば市役所に書類を提出する事で養子縁組の届け出が出されても不受理となります。
もう1つは裁判です。
すでに養子縁組されてしまった場合は私達、司法書士では対応する事ができません。
養子縁組無効確認調停及び養子縁組無効確認訴訟を提起して「養子縁組の当事者に養子縁組を行う意思がなかった事、養子縁組の当事者に養子縁組届を提出する意思がない事」を主張する事になり、これは弁護士の専門分野です。
そこでBさんは弁護士に依頼して、Cさんとの養子縁組を取り消しました。
しかし、また何かの方法で財産を狙われるのではないかと心配が絶えませんでした。
そういった経緯で当時のスタッフが公正証書での遺言書の作成をサポートさせて頂き、Bさんの財産を全てAさんに相続させる内容の公正証書遺言を作成したのでした。
これによって相続が発生したときCさんがまた気づかないうちに養子縁組をしていたとしても遺留分を除いて財産は全てAさんの物にする事ができます。
そして今回、Bさんがお亡くなりになって遺言書の内容を実現するため、遺言書で執行者に指定していた私どもにご依頼くださったのでした。
当時のスタッフが遺言執行者として定められている公正証書遺言が残っているのではれば相続手続きは滞りなく行う事ができます。
そのことをAさんにお伝えすると、「ではお願いします」との事で早速手続きに取り掛かりました。
解決までの流れ
依頼を受けてからはとてもスムーズでした。
公正証書遺言を添付書類にして各銀行や法務局に書類を提出し、財産を全てAさんの名義に変えました。
Cさんが何かしていたという事もなくトラブルのないままスムーズに手続きを終えることができ、Aさんも大変満足してくださいました。
まとめ
今回は財産を狙われるというケースでした。
相続財産を狙われることはしばしばあります。
今回の様に養子縁組を使った手口もあれば判断力の低い時を狙って遺言書を書かせる、財産を管理できる立場になって横領するといった手法もあります。
財産を守るためには複雑な法律知識が必要ですので心配な方は専門家に相談する事をオススメします。
この記事を担当した司法書士

司法書士法人C-first
司法書士
泉正人
- 保有資格
司法書士
- 専門分野
相続 遺言 家族信託 成年後見
- 経歴
関西大学を卒業後、岸和田市役所に10年勤務。令和4年度司法書士試験に合格。筋トレと入浴後のアイスを愛する2児の父。