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遺言執行者がいないと解約できない口座を解約したケース

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相続手続きサポート

登場人物

被相続人

祖母

相続人

Aさん
その他
Bさん(Aさんの父)

登場しない人

Aさん以外の法定相続人

相談内容

「祖母の遺言書の通りに手続きを進めていたが、解約できない銀行があるのでお願いしたい」とAさんが相談にこられました。
詳しく話を伺うと、Aさんは数年前に父であるBさんを亡くし、今回、祖母がお亡くなりました。
祖母は自筆証書遺言を遺していたのでAさんは検認を経てその内容を確認しました。
遺言書には「Bに全財産を相続させる。Bがすでに死亡している場合はAに相続させる。」と書かれていたためAさんが全財産を相続する相続人だとわかりました。
そこからAさんは家族と協力し平日に時間を作りながら手続きを進めていたのですが途中で行き詰ってしまいます。

4つある銀行口座のうち2行はスムーズに解約する事ができましたが残り2行が解約に応じてくれなかったのです。

銀行の説明

この2つの銀行の言い分は共通していて「この遺言書は遺言執行者を定めていない。遺言執行者を定めていなければ法定相続人全員の実印を押印した同意書が必要です。」との事でした。

遺言執行者とは遺言書の内容どおりに実行されるように必要な手続きを行う人の事で、遺言執行者を定める場合は遺言者が自ら作成した遺言書の中で遺言執行者を指定するのが一般的です。
例えば今回であれば祖母が遺言書の中に「Aさんを遺言執行者にする」と書いていればAさんが遺言執行者として手続きを進める事ができました。

今は遺言執行者がいない状態ですので、銀行の規定により、口座の解約には法定相続人全員の同意書が必要、というのが銀行の説明です。
法定相続人とは法律上の相続人の事で今回はAさんの従妹に当たる方3名でしたが、その3人とは会った事もなく連絡先も知りません。

そこで手続きに行き詰まってしまいシーファースト相続相談窓口をお尋ねくださったのでした。

今回の解決方法は二つです。

二つの解決方法

①法定相続人全員に連絡を取り同意書に実印を押印してもらう
②今から遺言執行者を定める

①についてですが
まずは法定相続人全員と連絡を取らなければなりませんが3名の連絡先を知りません。
職務上請求によって、住民票を取ることができればその方の最新の住所はわかるので、そこに手紙を送る方法もありますが、不在や受取拒否などであればまたややこしい手続きが必要になります。
また事情を説明できたとしても快くハンコを押してもらえるかはわかりません。
遺言書の内容を考えると、法定相続人は遺言書があるせいで取り分が無くなるという立場です。1円ももらえないのに手続きだけ協力するのは割に合わないということで、場合によってはハンコ代の話になる可能性もあります。

②の遺言執行者を定める方法ですが、家庭裁判所に「遺言執行者選任の申立て」をする事でも定める事ができます。
申立書に記入し必要書類を揃えて管轄の家庭裁判所に提出すれば裁判所が審判を行ないます。
審判が確定すれば申立人と遺言執行者に「遺言執行者選任審判書謄本」が届きますのでこれを使って遺言執行者として手続きをする事ができます。
遺言執行者には、未成年や破産者でない限り誰でもなれます。

この事をAさんにご説明させて頂きますと「会ったことも無い人と連絡とるのは気が引ける。」との事でしたので遺言執行者を申し立てる方針になりました。

解決までの流れ

早速銀行に連絡をとって打合せをすると、遺言執行者はAさんではなくシーファースト相続相談窓口になってほしいとの要望でした。
その事をAさんにお伝えして了承を頂けたので、その通りに私たちを候補者として裁判所へ申立て書類を提出しました。

検認を済ませていた事もあって書類はほぼ揃っており、管轄の裁判所もすぐ近くでしたので手続きはスムーズに進み、無事に審判書が届き私どもが遺言執行者になる事ができました。

次は他の相続人に私どもが遺言執行者になった事を通知します。
これは令和元年に改正された法律です。
遺言執行者は就任後にその事をすべての相続人に通知することが義務づけられました。
さらに財産の一覧を記載した財産目録も一緒に通知するのが通常です。

改正以前は、執行者に就任した事を通知せずに相続手続きを進めるのが普通でしたがこの事で相続財産を取得しない相続人とトラブルになる可能性がありました。

これらの準備を終え銀行の手続きを行ないましたが2行ともトラブルはなくスムーズに解約手続きをする事ができ、全額をAさんにお渡しして今回の案件を無事完了したのでした。

まとめ

銀行によって解約の手続き方法が違うことは良くあります。
今回は4行のうち2行は遺言執行者を定めなくとも手続きする事ができましたが、こちらの方が稀で、本来であれば遺言執行者を定めていなければ相続人全員の協力が必要になります。
このようなことがあるので、遺言書を書く時に遺言執行者を定めておくのはとても大事です。
また遺言執行者になると面倒な事務手続きも多いのでそういった場合は私どものような専門家にお任せ下さい。

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

司法書士

山﨑 聡

保有資格

司法書士 行政書士 土地家屋調査士 宅建

専門分野

相続 遺言 生前対策 成年後見

経歴

若くして、すでに業界歴11年を超える大ベテラン。相続をはじめ成年後見、遺言などあらゆる手続きに精通する生前対策のスペシャリスト。


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